2013年09月14日(土)

イラン人は面白すぎる! 

イラン人は面白すぎる! (光文社新書)イラン人は面白すぎる! (光文社新書)
著者:エマミ・シュン・サラミ
出版:光文社
発行:2012/04/17

評価〔A〕 これぞ生のイラン。
キーワード:イラン、イスラム教、アラブ、ペルシャ

バスや電車などの交通機関が時間通りに到着することはあまりない。平気で一時間以上遅れるのだが、そんなとき運転手はそろって「アラーの導きによって遅れてしまったのだ」と、遅刻の言い訳にしてしまう。(本文より抜粋)


中東やイスラム教に関する報道は、戦争や内戦など良くないイメージのものが多いです。本書の題材であるイランも核兵器問題で取り上げられますが、そこに住む人々がどのような生活をしているのかはほとんど伝わってきません。イラン生まれ日本在住のお笑い芸人である著者が、日本人に定着してしまった誤解や偏見を少しでもなくしたいと思い書いたイラン及びイスラム文化の紹介本です。

文化や宗教の紹介と書くとお堅い文章を想像してしまいますが、本書はユーモアと笑いがあります。イスラム教徒は教義に厳格そうですがさぼってお祈りしない人がいたり、遅刻をアラーのせいにする人などがいて面白いです。また、身なりに気をつかう乞食たちや、外では顔をチャドルで隠すにも関わらずオシャレする女性たちも興味深いです。

かたい肩書の人では書くのを躊躇ってしまうことも平気で書いてあるのが、面白いし強みでもあると思います。数字や理念でなく、口語で体験談を交えている点が良いです。現実味があります。

もちろん近所のおじさんが、みたいな軽い話ばかりではなく、貧富の差、男尊女卑の文化、恋愛、そしてアラブ諸国との関係と、真面目で避けることのできない話題もきちんと語られています。恋愛や刑罰の違いは日本とだいぶ異なり、そこは大きな隔たりを感じました。しかし、こうして分かりやすく難しくせず、読者の興味をひきつつ異文化を紹介できるのは素晴らしいと思います。イランやイスラム文化に怖いイメージしかない人ほど読んでほしい本です。




スポンサーサイト
[ 2013/09/14 22:28 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)

2012年01月20日(金)

地図が読めないアラブ人、道を聞けない日本人 

地図が読めないアラブ人、道を聞けない日本人 (小学館101新書)地図が読めないアラブ人、道を聞けない日本人 (小学館101新書)
著者:アルモーメン・アブドーラ
出版:小学館
発行:2010/10/01

評価〔B〕 アラブ人の生の声
キーワード:アラブ、エジプト、イスラム教

アラブにおいては、特に私の生まれ育ったエジプトでは、人々の最大の娯楽はおしゃべりである。(第二章より抜粋)


ある異国で経験なのですが、色々なイメージに合った国や民族を話し合うということがありました。暴力的な国や民族を挙げなさいと言われて戸惑ったのですが、その国の某は中東地域(イスラムかも)の人と迷いなく答えたのが、いやに印象に残っています。日本においてもアラブから連想するのは、イスラム教がらみの紛争やテロなのが少なくないと思います。でも、テレビで見る衝撃的な映像以外は、あまり触れることのない世界です。実際のところはどうなのでしょうか? 本書はエジプト出身の著者がアラブを紹介します。

序盤は軽いコラムやエッセイのようで、少々内容が軽いかなーと思っていのですが、中盤から面白くなって興味深かったです。おしゃべりが娯楽であったり、他人からの頼みごとに弱いのは意外でした。もっとなんかこう、堅いイメージがあったので。情に弱いかと思いきや、肩書社会であったり仕事が結果重視であったりと、やはり西洋とは違う世界があって興味深いです。

知りたかったイスラム教についても触れていました。宗教がアラブ人の生活や社会に根付いていて、切っても切れない密接な関係になっていることが分かります。しかし、断食などの宗教の厳しさよりも、参加する楽しさが文面から伝わってきて、日本の祭りのようでこれも意外でした。その精神である「インシャーアッラー」は、価値観として面白いです。また、P169の『物事の本質が「宗教」という名のもとに隠されていることを考えてもらいたい』は、目から鱗が落ちました。

だいぶ違うアラブと日本ですが、著者は表現の形が違っていても源は同じと述べています。違って見えても価値観は変わらないという意見は、外国(日本)に長く住んだ経験があるからこそ。頭で分かっていてもなかなか言えない一言ですね。




[ 2012/01/20 23:02 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)