2017年04月12日(水)

盤上の詰みと罰 1 



著者:松本渚
発売日: 2014/11/10

評価〔B+〕 主人公は起きている間、将棋しかしてなさそう。
キーワード:将棋、記憶、

「私はもう一度、あの人と対局したいんです」(本文より抜粋)


霧島都は元プロ棋士で、全国将棋一人旅をしています。理由は、記憶障害の原因となった対局の相手を探し出すため。彼女は相手を見つけ出すことができるのか、なぜ記憶を失ってしまったのかを求める将棋の旅です。

将棋の魅力にとりつかれ、何よりも将棋が好きな彼女の生き様が実に楽しそうです。いや、記憶が1ヵ月ごとにリセットされてしまうのですから、本人にしてみたら苦しいのかもしれませんが、将棋を指している姿は生き生きとしていて目を引きます。旅先で出会う人々も将棋にいろいろな想いを持っていて、都との違いが面白いです。勝負どころは迫力があり、きっと将棋のルールを知らない人でも楽しめるかと思います。

クライマックスの対局ですが、最後にプロ棋士の解説つきで棋譜が載っています。見ただけではよく分からなかったので、実際駒を並べて見たのですが、どちらも攻め将棋で迫力がありました。96手目と97手目なんて私には高度過ぎて指せません。こういう手はプロが監修しているだけあってさすがです。

次で完結ですが、一体どのような相手とどのような将棋で終わるのか。期待しています。



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[ 2017/04/12 21:09 ] 漫画 | TB(0) | CM(0)

2017年04月12日(水)

ふわふわの泉 



著者:野尻 抱介
発売日: 2012/7/24

評価〔A-〕 泉のネーミングセンスも結構好き。
キーワード:SF、化学、宇宙、

「努力しないで生きたいと思わないか」(本文より抜粋)


SFでは遠い未来の魔法のような技術が度々登場しますが、その技術がいかにして作られ、そして発展していったのかを追ったのが本書です。物語は、努力しないで生きることが目標の化学部部長・朝倉泉が、唯一の部員・保科昶(あきら)と共に文化祭の展示物を制作しているところから始まります。第33回星雲賞日本長編部門受賞作。

身近で少し変わった出来事が起こる学園系SFかーと読んでいたら違っていて、どんどん突っ走っていきます。テンポよく進むので爽快で面白いです。良い意味で期待が裏切られた形でした。練られた伏線ではなく、現実の想像できるところからワクワクするようなところまで発展するのが、容易に想像できるのが本書の魅力ですね。SFの部分も少な過ぎず、かと言ってSFを読んだことない人が嫌になるほど多くもなく、ちょうど良かったと思います。

多少、強引な展開や唐突な急展開もありましたが、面白さが損なわれるほどではなかったです。推理小説のような緻密なシナリオを望む人には、合わないかもしれません。

あとがきによると、設定は専門家にお世話になったらしいので、おそらく科学的考察もしっかりしているのでしょう。あの物質も・・・・・・まあこれは読んでのお楽しみですね、表紙から受ける印象とは異なり、しっかりとした説得力あるハードSFでした。でも、泉の性格のおかげか、または著者の文章力のなせる業なのか、堅苦しくなく読みやすかったです。




[ 2017/04/12 21:08 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2017年04月08日(土)

重力とは何か アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る 



著者:大栗 博司
発売日: 2012/5/29

評価〔A〕 物理学の最先端を垣間見た。
キーワード:重力、超弦理論、相対性理論、物理学、

アインシュタインの「最高のひらめき」とは、このニュートン以来の論理を逆転させることでした。(第三章より抜粋)


重力よりも副題の超弦理論の文字にひかれて手に取りました。高次元を解明する最先端の理論としか知らなかったので。

まずは前提となる相対性理論や量子論から始まり、超弦理論やブラックホールと進んでいくのですが、今は科学から遠ざかっている高校生の同窓生に語るつもりで書いたとあるように、かなり分かりやすく書かれています。難解な理論をほとんど数式を使うことなく、図と簡単な具体例で上手く説明しているのは鮮やかです。これなら知識なしでも読める、とは思いますが、やはり多少は知っていたほうが理解が早いですし面白いと思います。

超弦理論の超弦の意味は、高次元を表すことができる凄い紐くらいに捉えていたのですが、超対称性を前提とした弦のことだったとは初めて知りました。また、潮汐力の説明は本当に分かりやすくためになりました。今までの理解が浅かったようです。物理学を10億のステップで考えることと理論の関連性は、なるほどと関心しました。確かに新理論の存在が予見できます。

途中まではだいたい知っている内容も多く少し退屈でしたが、中盤以降はかなりワクワクしながら読みました。こんなに進んでいるんだと思う反面、まだまだ謎が多いとも感じました。事象の地平線の先から特異点まで、物質には何が起こり、最後に何が残るのでしょうか?

何度読んでもピンとこないところもあります。最先端のあの理論も、分かったような分からないような感じです。しかし、多少分からなくても、次から次へと有名人やノーベル賞受賞者が登場し、発展していった物理学の歩みは面白かったですし、興味のある人には是非読んでもらいたいです。




[ 2017/04/08 22:01 ] 自然科学・医学 | TB(0) | CM(0)

2017年04月08日(土)

その「つぶやき」は犯罪です 知らないとマズいネットの法律知識 



著者:神田 芳明 (著), 前田 恵美 (著), 深澤 諭史 (著), 香西 駿一郎 (著), 鳥飼 重和 (監修)
発売日: 2014/5/16

評価〔A〕 危険性は認識しておかないと。
キーワード:法律、インターネット、SNS、

まず前提として、名誉棄損罪は、その内容が真実であるかどうかは関係なく成立します。(第1章2より抜粋)


インターネットが発達したおかげで、誰でも気軽に思ったことを発言することができます。しかし、あまりに簡単なので、知らないうちに違法行為となっていたり、逆に不当な被害を受けることもあります。どこまでOKでどこからがダメなのか、情報発信の責任を勉強する本です。

まず、知らないうちに加害者となる場合を紹介していますが、様々な法律と共に説明されていて分かりやすいです。名誉棄損罪は事実でなくても、評価でも公然と相手を貶めると侮辱罪になることがあることに驚きました。具体例の一つとして、レストランの評価はどうなるのか?が書かれていますが、どうやら程度によるようです。その程度も、人によって異なるので難しいですね。

悪いことだとは知らなかったという弁明は言い訳にならない「法の不知は害する」について説明していますが、他人のためにも自分のためにも知識を身につけることは必要でしょう。できれば小さいうちに知っておけば、問題も起きにくいはずです。

一方、図らずも被害者となってしまった場合も紹介していますが、加害者のケースと比べて分量が少なかったのが残念です。欲を言えば、もっと個々の事例について判例を挙げたり、もっと色々なネット問題を紹介して欲しかったです。

法律の面から見たら本書の内容は正しいのでしょうが、このとおりに様々なことに注意すると、基本的に良いことしか書けなくなってしまいそうです。褒めてばかりの情報では有用かどうか判断しずらいし、会話としても味気のないものになりそうだし・・・・・・難しいものです。



[ 2017/04/08 21:57 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)

2017年04月08日(土)

2017年3月の読書メモ 

さとり世代 盗んだバイクで走り出さない若者たち〔C+〕
ダーウィンズゲーム 10〔B+〕
「自分はこんなもんじゃない」の心理〔C+〕
新装版 マジックミラー〔B+〕
Q.E.D.証明終了 43〔B+〕

タイムマシン (光文社古典新訳文庫)〔B〕
死人の声をきくがよい 9〔B+〕
視力を失わない生き方〔A-〕


以上、8冊でした。新書、漫画、小説とあまり偏ることなく読書できたほうだと思います。先月言ったように漫画が少なめですが、借りて読んでいたのでブログに感想を書かなかっただけで、数は結構読みました。

もう少し読む冊数を増やしたいですね。




[ 2017/04/08 21:46 ] 月別まとめ | TB(0) | CM(0)

2017年03月29日(水)

視力を失わない生き方 



著者:深作 秀春
発売日: 2016/12/15

評価〔A-〕 きちんと調べてから診てもらいましょう。
キーワード:眼科、手術、白内障、緑内障、

大切なのは、寿命は90歳であっても、眼の寿命はもっと短くて、せいぜい70歳ぐらいであることをまず認識することです。(第2部(2)より抜粋)


日本の医療は世界の中でも最先端というイメージがありますが、本書の著者によると、眼科の手術に関しては低レベルなのだそうです。外国で最先端の技術を学び、アメリカの学会で何度も賞を受賞した著者が、視力を保つために知っておくべきことを解説しています。

大学は研修病院に過ぎない、手術の腕がないために失明してしまうことが多いなど、医療関係者以外ではなかなか知りえない有益な情報が記載されています。少し前に話題になったレーシック、加齢による白内障や緑内障、糖尿病と眼の関連性と、専門的でやや分かりにくい点もありますが丁寧に説明されていて、患者のことを考えていることがよく分かります。驚いたのは、花粉症で目をこすっていると目に損傷が蓄積し、網膜剥離の危険があることです。本でよく紹介されている眼の運動も、ほとんど無意味だそうですよ。

眼科に救急はなく、腕のよい眼科外科医にかかることが大切だそうです。眼の手術は医者によって大きく差があるので、慎重に選ぶようにと主張しています。探す時も著者が言うように、誰かの意思が介入している場合もあと思うので、複数の媒体・サイトから探すのがおすすめです。

著者は最先端の技術を学び腕も確かなようですが、アメリカで技術を学んだためか、自己主張が激しいです。自信と実績があるので、本書の中で何度も自分の病院をすすめています。しかし、超上級者と連呼されると宣伝のための本のようで、あまり良い気分ではありません。「社会調査のウソ」のように、日本の眼科医療全体の発展を願うような文章であれば、さらに良かったのですが。それと、著者が大学病院にいた頃は、眼科医療は確かに遅れていたのでしょうが、インターネットがある現在でも大幅に遅れているのでしょうか。どうなんだろう。

今後、眼の病気にかかってしまったら、本書のことを思い出して適切に行動するよう心がけます。今のうちに読んでよかったと思います。



[ 2017/03/29 22:06 ] 自然科学・医学 | TB(0) | CM(0)

2017年03月29日(水)

死人の声をきくがよい 9 



著者:ひよどり祥子
発売日: 2017/2/20

評価〔B+〕 ゴーストはやっぱり個性的で面白いです。
キーワード:ホラー、霊感、オカルト、

『岸田さま、お久しぶりです』(本文より抜粋)


相変わらずの怪奇事件が目白押しです。質は下がっていないのですが、9巻にもなると多かれ少なかれ慣れてしまい、読み始めた当初のように楽しめないのが残念です。

しかし、ゴーストが登場する連作は面白かったです。ゴーストの個性の強さも面白さの一つですが、裏表紙に完結!?と書かれていてどうなるか分からなかったのも、いつもと違って緊張感がありました。クライマックスで岸田が目を覚ました時に言った、ゴーストの台詞が意外で、でもゴーストらしくて良かったです。

今後、話を進めて完結に向かうかどうかは分かりませんが、次も今回のゴースト編くらい面白いと良いなあ。



[ 2017/03/29 22:00 ] 漫画 | TB(0) | CM(0)