2016年09月25日(日)

厭魅の如き憑くもの (講談社文庫) 



著者:三津田 信三
発売日: 2009/3/13

評価〔B+〕 分厚い本です。それと、まさかの真相。
キーワード:戦後、神隠し、民俗学、ホラー、推理、

ある種の感慨を覚えながら前方を見遣った言耶の眼に、神々櫛村の入口の両脇に立つ二体のカカシ様の何とも不気味な姿が、いきなり飛び込んできた。(弐より抜粋)


戦後、怪奇小説家の刀城言耶が取材で因習が根強く残る辺境の村を訪れ、そこで起きる事件に巻き込まれていく和風ホラーミステリーです。誰かの視点で固定されず、いくつかの視点で順番に物語が綴られていきます。刀城言耶(とうじょうげんや)シリーズの1冊目で、2006年2月に刊行した本を文庫化したものです。

なんといっても長いです。600ページ以上あります。序盤が固有名詞が多く読みにくかったので、最後まで読み切れるか心配しましたが、紗霧の日記からは読みやすくなって安心しました。前半はホラー要素が濃く、後半から終盤にかけてミステリ要素が強まっていきます。分厚い本なので、読んでいる途中でまだ半分も読んでないのかと何回も確認してしまいました。もう少し短くできなかったのかな。ホラーの雰囲気を出そうとすると、仕方ないのかもしれませんが。とにかく長いという良くない印象が大きく残りました。

しかし、最終盤の謎解きでは自分の予想した犯人が当たった?と思ったら、新事実発覚で外れていたり、二転三転して翻弄されましたけど面白かったです。意外過ぎる真相でしたが、見抜けた読者はいたのでしょうか? ヒントはありましたけど、相当難しいのではないでしょうか。

最後が見事だっただけに、その長さだけが残念でした。長くても気にならない人もいますので、好みの問題だと思います。無理に1冊にせず、上下巻に分ければ印象も違っていたと思います。もしも、上下巻だったら、上は評価Bで下は評価Aにしたかもしれません。



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[ 2016/09/25 21:55 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2016年09月25日(日)

俺の棒銀と女王の穴熊 5 



著者:アライコウ (著), 瑞月シノ (イラスト)
発売日: 2015/7/27

評価〔A-〕 プロ棋士も十人十色の人生です。
キーワード:将棋、高校、部活、

「簡単に言うわよ。もう一花、咲かせたいんでしょう? これが最後のチャンスよ」(本文より抜粋)


来是たちの彩文学園将棋部ではなく、プロ棋士たちが主役の短編集です。外伝のような1冊。完全に独立した話ではなく緩く繋がっているので、連作短編集と呼んで差支えないと思います。

対局だけでなく、仕事として将棋を指すプロたちの日常もきちんと描かれています。棋士だからといって突拍子もないことばかりではなく、一般的な社会人と似たような悩みもあると思います。現実味もあり、彼らが身近に感じられて良かったです。一方、対局では彼らは並々ならぬ熱意を示します。これぐらいでなければプロになれないのでしょう。厳しい世界ですね。

3話目では最近話題のコンピュータ将棋も絡めて話が進み、終盤は盛り上がりました。あの勝負の結果は賛否両論ありそうですが、仮に現実に起きたとしたら作中と同じ展開になりそうな気がします。

この巻はライトノベル独特の雰囲気は薄まり、一般書籍に近いです。趣味として将棋は指すけれど観戦しない自分にとって、かなり面白かったです。将棋好きの人におすすめできそう。



[ 2016/09/25 21:52 ] ライトノベル | TB(0) | CM(0)

2016年09月20日(火)

極黒のブリュンヒルデ 15 



著者:岡本 倫
発売日: 2015/10/19

評価〔B〕 ギャグが多め、高屋が目立ってます。
キーワード:SF、現代、魔法、宇宙人

「まじでこれ!? こんな所に行くの!?」(本文より抜粋)


前回からの恋愛のいざこざもひとまず落ち着き、日常に戻った魔女たちは思いがけない出来事に直面します。

なにかとギャグが多めの巻です。高屋の言動は今までにも増して極端なもので笑ってしまいました。バカンスを語るのは良いのですが、もう少し笑顔でお願いします。初菜はよく頑張った。

また、佳奈と彼女の姉の関係は、新しい局面を迎えます。最後の頃まで進展しないだろうと思っていたので意外でした。終わりに向かって動き出した感じがします。

他の方の書評にもありましたけど、終盤の「UCHU・・・」は一体どういうことなんでしょうか。間違い? いや、著者ならではのギャグだったんでしょうね、きっと。次の巻は波乱の展開になりそうです。




[ 2016/09/20 20:51 ] 漫画 | TB(0) | CM(0)

2016年09月20日(火)

「超」集中法 成功するのは2割を制する人 



著者:野口 悠紀雄
発売日: 2015/9/17

評価〔C〕 その2割を見つけるのが難しい。
キーワード:実用、勉強、仕事、

世の中では、「重要なのは2割程度であり、それで全体の8割程度の効果が得られる」場合が多いのです。(本文より抜粋)


学校の勉強でも職場の仕事でも、本当に大切な部分は全体の2割ぐらいで、その部分に力を入れれば全体の8割くらい把握するのと同じことである、というのが著者の主張する法則です。どこかで見聞きした「2:8の法則」と同じですが、これがいかに日常生活に当てはまるのか、そしてどうすれば効率よく物事を進められるのかについて検討しています。

何事も一様ではないことは経験から知っていますが、問題はどこか重要なのか知ること、発見することです。それについては本書でも述べられていますが、その核心部分(コア)の見つけ方が『能力のある人から教えてもらう又は見て盗む』で、あまり参考にならなかったのが残念です。もう少し具体的な方法が欲しかったです。難しいとは思いますが。

また、終盤で残り8割の部分は無視できないとしながら、しかしやはり2割が重要であるとも強調していて、少々混乱しました。このような書き方ですと、結局どちらが大切なのかよく分からなくなってしまいそうです。

一方、書類整理やべき乗分布のくだりは興味深かったです。特に前者の使う頻度の高いものを揃える手法は、物が多い場合は有効かもしれませんね。私も本棚で似たようなことをしています。こうした良い点もありましたが、全体的には良くなかった点が目立ってしまいました。



[ 2016/09/20 20:45 ] 実用 | TB(0) | CM(0)

2016年09月16日(金)

万能鑑定士Qの事件簿 XII (完) 



著者:松岡 圭祐
発売日: 2011/10/25

評価〔A-〕 最終巻らしかった、かな?
評価〔B+〕 
キーワード:鑑定士、知識、雑学、

「妻はいなくなるはずのない状況で消えたんです。でもそんなはずはありません。構造的に何か見落としているところがあるんです。鑑定でそれを浮き彫りにしてください」(本文より抜粋)


依頼人のすぐ近くで忽然と姿を消してしまった妻の捜索を頼まれた凜田莉子は、ある建造物の鑑定に挑みます。シリーズ12冊目、最終巻です。

問題の鑑定物は、日本人なら映像で見たことがありそうな有名な建造物です。どのような作りになっているのか知らなかったため、興味深かったです。機会があったら近くで見てみたいものです。一番の謎である蓬莱瑞希が消えたトリックよりも、正体不明の鑑定依頼や盗難事件の裏事情と事件周辺の謎解きのほうが面白かったと思います。

別の方向へ話が進みつつある状態で一度完結としたのは、少々惜しいですが良い判断だったのではないでしょうか。マンネリにおちいるよりはずっと良いです。最終巻ということで最後が気になるところでしたが、まぁ予想した範囲内で終わりました。1巻を読み始めてからかなり時間がかかってしまいましたけど、完結まで楽しませていただきました。時間が空いて久しぶりに読んだためか、最後の3冊は新鮮に感じてより面白かったです。ありがとうございました。

凛田莉子の物語は、「万能鑑定士Q推理劇」として続くようです。ちょっと調べてみたら4巻で完結みたいです。




[ 2016/09/16 21:54 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2016年09月16日(金)

万能鑑定士Qの事件簿 XI 



著者:松岡 圭祐
発売日: 2011/8/25

評価〔A-〕 華蓮とは違ったタイプの強敵登場。
キーワード:鑑定士、知識、雑学、

「道理で考え方が似通っているわけね・・・・・・」(本文より抜粋)


舞台は京都、願いがかなうと言われる音隠寺は拝観者で賑わっていました。数年前まではまったく無名の寺だった若き住職の水無施は、衆人環視の元で願いをかなえてみせます。彼の神通力なのか、それとも何かトリックがあるのか。京都を訪れていた莉子は、偶然音隠寺へ立ち寄ることとなるのですが・・・・・・。シリーズ11冊目です。

今回の相手は頭も切れ弁もたつ強敵です。なにより今までの相手とは違って、ある事情から莉子も小笠原も驚き警戒します。理由は読んでのお楽しみですが、ひとつ言えることは、どのようなものでも使用者次第だということです。まさに裏と表のような。

彼はなかなか隙を見せない相手なので盛り上がりました。奈良の大仏の謎は見事にひっかかりましたし、なにより感心したのは古墳の書の秘密です。作者はよく思いつくなぁ。

人の死なないミステリらしく殺人はなく、読後感も良かったです。次で完結なのが惜しくなってきました。






[ 2016/09/16 21:52 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2016年09月10日(土)

太陽の簒奪者 



著者:野尻 抱介
発売日: 2005/3/24

評価〔A-〕 水星の異変は何を意味するのか。
評価〔B+〕 水星の異変は何を意味するのか。
キーワード:ハードSF、ファーストコンタクト、水星、

亜紀は魅了されていた。水星で始まったこと、リングのこと、その背後にある文明のすべてを知りたい。(本文より抜粋)


人類は未だ他の知的生命体と接触を果たしていませんが、出会うとしたらどのような相手、どのような形になるのでしょうか。宇宙人との初めての邂逅を描いた、いわゆるファーストコンタクトもので二部構成となっています。第34回星雲賞受賞、ベストSF2002国内編第一位。

水星に突如起きた異変が観測されるところから始まります。第一部はテンポよく進み、専門的な解説も入りますが、物語の進行の邪魔になることはありません。こうしたハードSFは読みにくい印象がありますが、著者が現代の日本人のせいか、読みやすかったです。第二部は近未来に起きる大事件が、地球全体に波乱を呼びます。前半に比べると話の進みがやや遅いですが、細かい政治的な場面・科学的な説明を入れることで、現実味と説得力が増しているのだと思います。

主人公の白石亜紀をはじめ、登場人物たちは宇宙人に対して様々な異なるイメージを持っています。実際にこのような事態になったら、恐怖心でいっぱいになるのか知的好奇心が勝つのか、それとも違う感情になるのか。そして、人類はどのような態度を取るのか、いろいろ想像してしまいます。

一部の結末や二部のUNSSファランクスが発進してからのシーンは引き込まれました。まるで面白い映画を見ているようにワクワクしました。何が起きているのか想像しやすい描写が良かったです。しかし、謎が解けてしまうと高揚がおさまってしまうためか、結末が少々物足りないような気がしました。もう少し派手な結末のほうが良かった・・・・・・と思うのは私のわがままなのかもしれません。




[ 2016/09/10 19:02 ] 小説 | TB(0) | CM(0)